BTOとはパソコンを受注生産することです。自分の好みに限りなく近付けたオーダーのパソコンを手に入れられます。具体的には「自分が必要なパーツでパソコンをオーダーする」、または「元々あるパソコンに必要な機能を足す、あるいは不要な機能を引く」というものです。最近では後者の意味合いが強くなっています。
一般的なメーカー製品よりも細かく目的ごとの性能・条件を吟味できる強みを持ち、今ではパソコンに注目する多くの人に浸透したスタイルです。一般のメーカー品もカスタマイズが可能ですが、最初からBTOを視野に入れたパソコン探しをする人なら、BTOに強い企業やショップを探すのも良い方法です。
BTOは多くの項目を自分で決定し、オーダーします。CPUやメモリー、ストレージやOSの種類はもちろん、グラフィックスや光学ドライブについても詳細に決められます。メーカー製品のように「これは自分にとって不要だな」と感じる性能がプレインストールされていることもなく、シンプルに自分の好みだけを追求できる大きなメリットが楽しめます。
また、BTOを手がける企業はオリジナルブランドのBTO対応パソコンをリリースしていることが多いのも特徴です。BTOを求める人のためにカスタマイズ性に幅を持たせながらも高性能なパソコンを用意しています。
目的や予算によってハイエンドパソコン、ミドルレンジパソコンなど、必要な性能を自分で設定できることも魅力のひとつです。
ハイエンドパソコンとは
ハイエンドパソコンは、いわば「最上レベルのPC」を指し、およそ考え得る高性能の機能を搭載しています。高負荷が必要なAIの学習やプログラミング、データ分析をハイエンド未満のクラスのパソコンよりも高速で処理できるため、プロの作業で重宝されるものです。
CADや動画編集、3Dモデリングをはじめ、高速処理や素早い反応を必要とするゲーマーのゲーミングPCとしても広く利用されています。
高性能というだけあって価格的には決して安いものではありません。BTOではトータルで25万円~45万円、それ以上の金額が必要になるケースも多々あります。しかし高価格帯ならではのパソコンで、その性能は折り紙付きであり、必要な人にはこの上なく頼もしい存在です。
ミドルレンジパソコンとは
ミドルレンジパソコンはハイエンドと比較すると価格が安く、その分性能が落ちるクラスです。しかしゲーミングPCや、通常利用する分には充分な実力を発揮できます。
ミドルレンジはとくにゲーミングPCとして人気のある価格帯で、BTOを手がけるパソコンショップでも多くのモデルを目にすることができます。ストレスなくオンラインゲームを楽しみたい人や、その他の作業もスムーズにおこないたい人におすすめです。
また、少し予算に余裕があるのなら、「アッパーミドル」を狙うのも良いでしょう。ハイエンドとミドルレンジの中間にあたる性能を持つパソコンです。ミドルレンジよりも快適で、しかしハイエンドほど高性能でなくても良い、というパソコンを求める人に向いています。
ただ、ミドルレンジの場合、ハイエンドのスペックが求められるような重い動作に処理が追いつかないケースもあることを理解しておきましょう。一般的な人気FPSゲームほどの重さなら快適にプレイできる性能と考えておけば差し支えありません。
しかし「重量が厳しい最新版のゲームを最高設定でプレイしたい・動画サイトで実況したい」という用途なら、ミドルレンジよりハイエンドが必要になります。この点の判断に迷う場合は、BTOショップのスタッフに相談してみましょう。
人気BTOメーカーおすすめパソコン
BTOパソコンを取り扱っているメーカーは数多くあります。ここでは6メーカーを取り上げ、おすすめのハイエンド・ミドルレンジのパソコンをご紹介します。
ドスパラ
ドスパラは株式会社サードウェーブが経営するパソコンチェーン店です。全国に21店舗を展開し、BTOを取り扱う業界では大手に位置しています。
業界老舗のドスパラはすべてのパソコンを国内で生産しています。同時にコールセンターを生産ラインの隣に設置しており、ユーザーのサポートとフィードバックを積極的に行う姿勢を取っています。修理やアップデートのサポートにも前向きです。
ドスパラではハイエンド・ミドルレンジともにユーザーの人気を集めるモデルを展開しています。プロのクリエイターはもちろん、ヘビーなプレイを求めるゲーマー、ライトプレイヤーなど幅広い層のライフスタイルにBTOパソコンを提供し、BTO業界では不動の地位を築いていると言っても過言ではありません。
ドスパラのハイエンドなら「GALLERIA XA7R-R36」、ミドルレンジなら「GALLERIA XA7C-R70S」に注目です。
ハイエンドの「GALLERIA XA7R-R36」は最上級のスペックを求める人におすすめです。過去にリリースされている同じGALLERIAシリーズの上位モデルであり、CPUにXA7R-R36、グラフィックスはXA7R-R36を採用しています。ヘビーゲーマーのゲーミングPCとしても注目を集めている逸品です。
「GALLERIA XA7C-R70S」は14万円台のミドルレンジでありながらも、搭載されているグラフィックボードが「RTX2070 SUPER」であることがおすすめの理由です。本来RTX2070 SUPERは15万円以上のハイスペックパソコンに搭載されるものです。それに応じたCPUとしてインテルの第10世代を搭載しています。14万円台の価格帯だと考えるとかなりの性能が期待できるでしょう。
Frontier
Frontierはヤマダ電機グループの企業です。BTP自体のカスタマイズ性はそこまで高くないものの、大企業グループならではの製品力、サポート力に秀でています。
Frontierのハイエンドなら「GB」が秀逸です。第3世代AMD Ryzenプロセッサー、AMD X570を搭載したモデルはヘビーユーザーの要求を高いレベルで満たせる性能です。
ミドルレンジは「GH」に注目です。やはり第3世代AMD Ryzenプロセッサーが搭載され、高い性能を誇ります。GBより多少CPUが落ちるという部分はありますが、そのほかは多くが共通しており、よほどのヘビーユーザーでなければ充分すぎるほどの性能だと言えるでしょう。
パソコン工房
パソコン工房はパソコン製品・サービスを提供する「ユニットコム」のグループ企業です。パソコン工房では多数の製品の販売のほか、オリジナルPCブランドの製造・販売を手がけています。
また、モニター・ディスプレイは「iiyama PC」による国内生産にこだわりを持っています。iiyama PCは元々外部の会社でしたが、現在はユニットコムの経営です。40年の歴史を持つ「iiyama PC」の技術を受け継ぎ、高い品質のハイエンド、ミドルレンジなど、多くのBTOパソコンを市場に提供しています。
ハイエンドなら「sense∞」がおすすめです。sense∞はCPUにRyzen 9 5950Xを搭載し、プロのクリエイターも満足のいく機能を持っています。
クリエイターだけではなく、「sense∞」はハイエンドのゲーミングPCを求める人にも向いています。GeForceのグラフィックカードにGeForceが使われていることがその理由の1つです。
多くのパソコンゲームはGeForceをスタンダードとして制作されています。このため、動作の点で開発段階から保証が取れていることになります。ハイエンドPCを求めるほどのディープユーザーなら嬉しいポイントでしょう。
ミドルレンジは「LEVEL∞」が人気を集めています。コストパフォーマンスがよく、6つのモデルから好きなスペックを選べるのも特徴的です。求めるスペックと予算のマッチングを最大限に考えられます。
パソコン工房はBTOメーカーの中でも求めやすい価格のミドルレンジを販売しており、性能とともにコストパフォーマンスを重視する人ならチェックして損はありません。
購入後のアフターサービスにも力を入れています。サポートセンターは24時間365日の対応が可能です。

マウスコンピューター
マウスコンピューターは1993年創業のパソコン直販会社です。中小企業と思われることも多いのですが、インテル・マイクロソフトといった有名企業の一次代理店であり、そのほか複数の企業を傘下に収めている大企業です。
そのマウスコンピューターが手がけるBTOは品質が高いと評判です。サポートにも力を注ぎ、24時間365日電話サポートを受け付けています。
マウスコンピューターのハイエンドは「DAIV 7N」に注目です。DAIV 7Nはノートパソコンのハイエンドモデルとして販売されています。ノートというと「デスクトップより性能が不安…」となるかもしれませんが、DAIV 7Nは「ハイエンドのデスクトップ性能をノートに凝縮した」優れた製品です。
グラフィックスにはGeForceが利用されています。転送はThunderboltを3ポート使うことによって10Gbpsを実現します。プロのクリエイターの使用に耐え得る性能はストレスを感じさせません。
ミドルレンジは「G-Tune」シリーズが挙げられます。ゲーミングPCとしても適したスペックはリーズナブルでも快適な環境が整えられています。CPUやグラフィックスなどの重要パーツを自分で選択することができるため、より好みに合わせた理想の1台を作成しやすくなっているのも特徴です。
ツクモ
ツクモは1947年創業の老舗で、日本でもっとも歴史のあるBTO企業です。インターネットの黎明期からネットショップを手がけたり、日本初のロボット専門店をオープンしたりと広い範囲で精力的な経営をおこなっています。
そのツクモが販売するオリジナルパソコンはサポートが手厚く、BTOに慣れていない人でも安心です。販売サイトも見やすくなっており、自分の条件に合うパソコンをスムーズに探せるのも助かります。
ツクモのオリジナルパソコンブランド「
ハイエンドの「eX.computer」はCADや3DCG作成・動画編集を快適におこなえるスペックを有しています。プロのクリエイター向けのグラフィックスカードQuadroが搭載されており、業務用として綿密な設計をおこなった結果、高い描写能力を実現しました。マルチモニターにも高解像度で対応が可能です。
ミドルレンジなら「G-GEAR」がおすすめです。用途別にハイエンド・ミドルレンジを選べるため、希望の機能にこだわりながらコストパフォーマンスを重視することもできます。スペックと価格の両立はBTOならではであり、さすがは老舗のツクモだといえますね。

SEVEN
SEVENは大手のBTOショップとは異なり、小~中規模のパソコンショップです。実店舗がなくオンライン販売のみとなっていますが、手がけているBTOパソコンは評判です。知る人ぞ知るという雰囲気があるものの、最近では大手パソコンメディアでも話題が取り上げられるようになり、徐々に認知度と人気が上がっています。
SEVENのBTOパソコンはカスタマイズ性の幅が広く、自分好みに仕上げやすい魅力があります。選択肢が多く、様々な条件を加味したい人にはうってつけでしょう。BTOだけではなく一般モデルのPCもカスタマイズに対応しているため、さらに幅広い人のニーズに応えられる実力を持ったショップです。
そのSEVENでは「ZEFT」シリーズをリリースしています。ハイエンドと言うに相応しいスペックを持ち、重い作業やゲームでもストレスなく動かせる性能を誇ります。ヘビーユーザーが求めるSEVENの特色・カスタマイズ性の高さも健在です。
ZEFTシリーズにはミドルレンジも用意されており、ハイエンドよりも手頃な価格で購入できます。カスタマイズ性の幅はもちろん広く、良好なコストパフォーマンスで自分好みのパソコンを手に入れられる面は非常に嬉しいものです。
その分、扱いはどちらかと言えば上級者向けです。かと言って必ずしも専門知識に秀でている必要はなく、一般的なパソコン知識があれば対応が可能です。あまりパソコンが得意ではないという人に向けて、BTOではなく一般モデルも用意されていますので、公式ホームページでの確認をおすすめします。
自分の理想を追求できるBTO
目的や用途によってハイエンド、ミドルレンジ、アッパーミドル、あるいはローエンドと様々な幅に分かれますが、BTOはそのいずれにも対応しやすい性質です。必要な機能をだけを追求すればするほど、ストレスを感じない環境を作り上げることができます。
価格的な問題に関してもBTOは解決しやすく、一般メーカーにありがちな、自分にとって不要な機能を除外することによってコストパフォーマンスを追求しやすいというメリットもあります。
反面、やはり多少の知識がないと不安かもしれない…と思う人が多いのも確かなジャンルです。しかし最近のBTOパソコンを取り扱う企業はサポートに力を入れており、購入相談から受け付けているところもあります。アフターサービスも同様で、購入後のメンテナンスについても気軽に相談できるようになっていることがほとんどです。気負いすぎずにBTOを楽しんでみましょう。